営業マネジメント

営業力を高める~経営的営業力を高める編~

営業力を高めるシリーズ、今回がラストです。
これまで
個の営業力を高める
営業チームの営業力を高める
をテーマに書いてきましたが、ラストは

経営的営業力を高める

です。

営業力とは〇〇×●●!?

営業力について、「営業力ってそもそも何?編」で

まず営業力とは3つに分類できるのではないかなと考えます。

(1)営業社員各自の営業力
(2)組織的な営業力=チーム営業力
(3)経営戦略の革新性・合理性による営業力

この3つが掛け算され会社の営業力になるというわけです。

と書きました。

こちらの表現を少し変えてみます。

 

営業力とは・・・

実行力 × 戦略策定力

と言い換えられます。

実行力とは商談の質のことです。
で、ここまで書いてきた営業社員各自の営業力チーム営業力を高めていくことの目的はいわば

商談の質の向上

です。

そう、ここまでの2回の中で書いてきた個の営業力、チーム営業力で書いてきたことは実行力を高める話です。
営業力とは「実行力×戦略策定力」なので、実行力をいくら高めたところで、戦略策定力との掛け算のため成果に結びつかないことがありえます

営業社員:「俺らって結構、営業ツールの改善をしてるし、きわどい商談は獲れてるし、凄いよな。けど目標にはいつも到達しない・・・なんでだろ・・・」
というケースは戦略策定力が乏しい可能性があります。
※当然のことながら営業社員が正しい努力を出来ておらず、実行力が不足している場合も考えられます。

営業力を最大化させる戦略策定とは

では戦略策定力とは何か。

戦略策定力を一言でいうと

誰に商品やサービスをどのように売るか

です。
これをふまえて、中小企業の営業戦略策定レベルをザックリ分類すると・・・

レベル1.営業チーム、営業社員各自に売上・粗利目標(予算)を設定している
レベル2.KPIを設定している
レベル3.顧客毎に売上目標と活動目標を設定している

このように分けられます。

あくまで私の個人的な体感ですが、中小企業の80%がレベル1、15%がレベル2、残り5%がレベル3っていう感じです。

この戦略策定レベルがレベル2以下の場合、いくら実行力が高くても営業力は上がらず、成果は伴ってきません。

売上が思うように上がらない場合、まずやるべきは、戦略策定力の問題なのか、はたまた実行力の問題なのかを切り分けることがポイントです。

戦略策定で営業力を高める

では戦略策定力はどのように高めるべきなのか。

それはとても単純なことで、仮説と検証です。

正しい戦略の立て方に沿って仮説を立て
実行したら短いスパンで検証する

ただこれだけです。

よって戦略策定力において重要なことは

正しい戦略の立て方を知ること
短いスパンで検証する癖をつけること

この2つです。

「正しい戦略の立て方」とは

戦略の立て方について正解はありません。webで検索すればメチャクチャ出てくるので、そのそれぞれをかいつまんで自社に合った方法を選ぶやり方で構わないと私は思っています。

ただ、正しい戦略の立て方には(繰り返しとなりますが・・・)

誰に商品やサービスをどのように売るか

という共通項があります。

これについて少し解説をしてみます。

「正しい戦略の立て方」(顧客ターゲティング編)

まず「誰に」という点ですが、これは会社によって意味合いが異なります。
新規の顧客を開拓する営業ならば、「誰に」は「どの市場を攻めるか」を意味します。
既存の取引先へのルート営業ならば、「具体的な企業(取引先」を意味するでしょう。

突然ですが、たとえば皆さんが果物屋さんを営んでいるとしましょう。
そして戦略を立てるシチュエーションだとします。

誰に果物をどうやって売る

という戦略策定の共通項を埋めていきます。

まず「誰に」という点について、市場を分析してみます。

世の中の検索数推移がわかるGoogleトレンドを使うと、果物の中でどのフルーツのニーズが高いのかを調べることが出来ます。
※検索数=ニーズの高低ではないので注意が必要ですが。

約15年前(2004年)と比較すると・・・
・桃とイチゴの検索数が伸びてる
・バナナも微増
・ブルーベリーとメロンは横ばい
ことが分かります。

ここから
桃とイチゴ好きは増えてる?
という仮説が生まれます。

すると
イチゴ好きが多い
→イチゴを店頭ゴリ押し
→ウチのお店で買ったことがないイチゴ好きが寄ってくれるかも

というイチゴ推し戦略が生まれます。

あとは1~2週間、この仮説を実行し、実行前との客数比較により検証を行っていくのです。

言われてみれば簡単な話に思えますよね?

ところが、中小企業の営業現場では上でいう「イチゴもメロンも桃もあらゆる顧客に対して売ってこい!」という戦略が蔓延っています。

話が長くなりましたが、本題に戻りましょう。

誰に商品やサービスをどうやって売る

「誰に」の部分を考える時は、果物屋の例の通り市場リサーチを重ねて
「買ってもらいやすい顧客群」を探すことが全てです。

新規顧客開拓型であれば買ってもらいやすいであろう顧客群を、

▼新規開拓営業におけるターゲティングの考え方(例)

既存取引先へのルート型であれば、取引額を大きく伸ばせるであろう顧客を、

▼既存ルート営業におけるターゲティングの考え方(例)

上図はターゲティングの一例ではありますが、このように買ってもらいやすい顧客群を社長や営業マネージャーが責任をもって選定すべきです。

「正しい戦略の立て方」(KPI設定編)

誰にサービス・商品を売るかを決まったら、次はどうやって売るかを考えます。

「どうやって売るか」ということを営業パーソンに丸投げしている会社がとても多い、いや中小企業においてはほぼ営業社員任せでしょう。

その背景には

社長や営業マネージャーもどうやって売ればベター(ベスト)なのかが分かっていないから

という理由があります。

ですが、社長が分からないことを営業社員が考えられるでしょうか?
中小企業においては社長が最も危機感を持っていて、常々どうやって売ればベターなのかを考えているはずです。

そんな社長でさえも「どうやって売るか」が明確になっていません。にもかかわらず、営業パーソンに売り方を丸投げしてしまっているのが現状です。

どうやって売るかという筋道は経営者(もしくは営業責任者)が考えなければなりません。

ではどのように考えるかを述べていきます。

営業プロセス立て方、そしてKPIの設定方法

新規開拓営業、既存ルート営業によって営業プロセスの立て方については細かい部分は異なりますが、大筋(原理原則)は共通です。

今回は新規開拓営業の顧客開拓プロセスを例にとって考えてみます。

契約(受注)→価格・提案合意→見積提出・提案提出→ニーズヒアリング

かなりザックリとプロセス分解するならこんな感じでしょう。
業種や提案している商材に応じて、ここからプロセスを細分化していくことになります。

で、ここがポイントで、プロセスの細分化とはつまり、能動的に行うべき営業アクションの設計のことなのです。そして、(言葉を選ばずハッキリと書くと)能動的に行うべき行動をはき違えている会社がとても多いのです。

「営業プロセスの洗い出してみましょう」と投げかけると、多くの企業では

受注→決定権者面談→見積提出→提案書提出→初回訪問

といった具合のプロセスが出来上がります。
これが間違っているわけではありません。

が、私の場合、「営業パーソンとは、顧客にとっての課題解決のパートナー」と定義しているので、プロセスの解釈が少し異なります。

私が考える営業プロセスとは

受注のためにやるべきこと

ではなく、

顧客が課題解決のために実施すべき手順を提案し、合意し、時に代行してあげること

となります。

たとえばWEB制作会社の場合でいうと、こんな感じでしょう。

見積提出とか提案書提出とかはどうでも良くて、顧客が正しい意思決定を下すためにして差し上げるべきことを徹底的に書き出す、これが営業プロセスの洗い出しです。

洗い出しが完了したら、洗い出されたプロセスの中からKPIを設定します。

上の図の受注→金額合意→提案合意→ニーズ合意→ニーズ把握のことを私は受注工程と呼んでいますが、各受注高低の中の営業プロセスの中から0~2つをピックアップ、トータルで3つから多くても最大5つくらいで設定します。

まず上図のように優先順位をつけます。
優先順位の付け方としては、顧客にとって価値のある活動自社の強みが発揮できる活動のマトリックスを使うと分かりやすいでしょう。


※マトリックスに加えて、営業パーソンの適性と実力に応じた人ごとの優先順位をつけてあげるべきです。

そして優先順位をつけたら、それぞれに目標値を設定します。

目標値には売上目標や粗利目標といった成果からの逆算と、リード数からの落とし込みの2通りがあります。
理想はリード数からの落とし込みです。※中小企業だとリード数がそもそも確保できないケースが多いので、難しいかもしれませんが・・・。

このようにしてKPIを設定します。

やってあげるべきこと(して差し上げるべきこと)に重点を置かれたKPIだと、営業担当者の商談時の視野が変わるはずです。

顧客の課題や独自性、顧客の市場におけるポジションなど、顧客視点で商談に挑むようになるはずです。

この視点をズラしてあげることこそ、まさしくKPIの必要性ではないかなと私は思っています。

まとめ

さて、かなりのボリュームになった戦略策定編ですが如何でしたでしょうか?

4回にわたって営業力強化のポイントをまとめましたが、私がこれまで携わらせてきた企業にはこのまんまの内容をお伝えしてます。

企業レベルに応じて伝え方を変えているだけで、根幹となる部分は今回、記事にした通りです。

難しいことは書いていませんので、是非、どこか興味を持ってもらえるポイントがあったのであれば、お取り組みいただけたら嬉しいです^^;

ABOUT ME
大川 直哉
大川 直哉
株式会社エクレアラボ 営業担当 営業支援システム(SFA)メーカーを2社経て、エクレアラボの創業に参画。10年以上のSFA提案や導入の中で1000社以上の営業現場に関与。 得意ジャンルは1000社の営業現場で見てきた営業手法やマーケティングの失敗談。 「失敗の仕方をレクチャーしたら、クライアントはその方法だけは絶対にやらないようになるから少しは成功確率が上がる」と考えている。 小さい頃は父親の経営していた会社に入ろうと考えていたが、自身が大学生の時、親の会社が倒産し、世の中は決してぬるくなく、思い通りにいかないことを痛感。それにもかかわらず未だに甘ったれでボンボン気質が抜けないというのが周囲の評価。 趣味はJリーグ観戦。