僕が最初に新卒で入社し、営業として配属された時のことです。
社会人になりたてピチピチの僕に最も衝撃的だったのが
「仮説を立てよ!」
「仮説を持って商談に臨め!」
「仮説なしで会議に参加したのか(怒)」
と謎のワードながら飛び交う『仮説』でした。
今日はこの仮説について僕なりの解説をしていきます。
営業における仮説とは
まず仮説について一般論では次のような意味合いで使われます。
ある現象を統一的に説明するために立てた仮定。 Wikipediaより引用
うーん、よく分かりませんが、「おそらくこういうこと(が起こっている、発生しているん)だよね?」的なことを指しているのだと思われます。
では続いて営業においてはどのような意味合いなのかというと、(あくまで僕個人の見解だと前置きした上で)
おそらく○○という問題を抱えてて
おそらく××という真因があって
それを解決するためには
おそらく△△という方法が適切だろう
これが営業的仮説の解釈です。
文字にすると「当たり前のことを偉そうに・・・」って感じになりますが、営業の仕事は仮説立案5割、商談3割、雑務2割だと僕は思ってます。
仮説立案という言葉がザックリしているので、「営業がそんな内訳であるわけないだろ!」的な意見が聞こえてきます。
仮説立案の中には会議の対策や会議資料の作成、見積書の作成、提案書の構成検討や提案書の作成時間などを諸々含んでいます。
営業は組織の中で活動し、顧客というナマ物に対して提案するので、仮説立案に多大な時間を割かれるのです。
営業的仮説の立案方法
では仮説で想定しておくべき、つまり事前段階のゴールは何かというと・・・
最優先で解決すべき課題
です。
仮説のゴール
ゴールという微妙な表現しか思いつきませんでした(語彙力・・・)。
仮説段階の着地は繰り返しとなりますが、最優先で解決すべき課題のことです。
たとえば初回訪問の場合は、顧客が抱えているでろう課題を考え、その中でも最優先で解決すべき課題を検討しておくことが仮説立案です。
見積書作成ならば、作成に取り掛かる前に「作成する見積書を提出したら、こんな風なリアクションをしてくるはず。そうしたらこの資料で費用対効果を説明して・・」という適正価格で買いたいという顧客の課題を解決する見積の作成と、その後の交渉の着地をイメージしておくことが仮説立案です。
会議の準備ならば、
「四半期の予想売上(売上見込表)に対して、○○というツッコミが入るはず。そのツッコミをかわすために□□の施策スケジュールを作っておこう」
このような上司、上層部が抱えるような悩み(課題)に対する打ち手が仮説立案です。
最優先で解決すべき課題
この「最優先」とは営業の様々なシーンで「クローズアップされるであろう課題」のことなのです。
よって上のシーン別の例ではそれぞれにつき課題を1つだけ書きましたが、2~3つは想定しておく必要があります。
仮説の立て方
それでは今日のテーマの本題とも言える仮説の立て方。
大川流(というか本やメディアの良いトコ取りした方法ですが)としては・・・
1.手持ちの情報だけでまずは叩き台的仮説を構築
2.仮説精度を高めるために必要情報を収集
3.仮説のすり合わせ方(ストーリー)の検討
4.仮説に対する解決策の検討と提示方法
このような手順で僕の場合は仮説を立てます。
ポイントは1です。
以前までは
情報を隈なく調べる→情報をもとに仮説を構築
という手順で行っていました。
が、この方法だと時間がかかりすぎます。
情報を調べていくうちに
「これも知りたい」
「あれも知っておきたい」
となってしまうので、情報を収集することに時間が割かれ、また情報が多すぎるゆえに仮説が乱立されてしまうのです。
手元にある情報だけで仮説を立てる
イメージとしては↓のような料理名当てクイズですね。
にんじん、じゃがいも、肉が入っていて煮込む料理ってなーーーに?
という問いをされた場合、おそらくカレーか肉じゃが(もしくは他料理。シチューとか?)だろうという予想を行うはずです。
予想を立てた上でヒント(他の情報)を求めますよね。
このように手元の情報から仮説を立てることで、2の段階で調べるべき情報が明確になります。
料理名当てクイズの例を続けるならば・・・
お母さんの味?
日本以外の国が発祥?
辛い?
このような情報を求めるはずです。
1の仮説におおよその確信を持つための情報を集めましょう。
2の情報収集で大切なことは、過度に情報を集めすぎないことです。
1の仮説がズレていたとしたら、その時点で2はムダな労力になります。
「仮説はあくまで仮説」くらいのスタンスで取り組むべきだと僕は思ってます。ただ、メチャクチャ大きな案件とかは2のフェーズがとても大切になるので、案件規模によってどこまでやるかを決めるケースもあります。
仮説を補完する情報を集めることが出来たら、3です。
商談用の仮説なら質問事項と仮説提示のストーリーです。
会議ならば上司や上層部にどんなツッコミをさせるかというストーリー、
提案書や企画書ならば目にした人、読み手の心情変化をマックスにさせる構成
のことです。
ストーリーは頭の中で仮想ロープレして練ることが僕の場合は多いですね。
商談や会議なら頭の中で参加者をイメージして、
こんな質問をしたらこんな回答が返ってくるだろう
そしたらこの質問をして・・・
といった具合に想像を膨らまします。
具体的に何を決めるかというと
・対商談 質問事項と、課題解決方法を要求させるまでの商談の流れ
・対会議 上司のマネジメント心をくすぐるツッコミスペースの確保
・対資料作成 理解し、納得してもらうための構成
僕の場合はこんな感じのことを決めています。
そしてラストに課題解決策の検討ですが、これは一言でいうと
相手の期待を超える解決策の提示方法を考えること
です。
図にするとこんな感じで
顧客にしろ、上司にしろ一定の期待(≒こんな提案をしてくるんだろうなーという想定を含む)を持っています。
その期待を超えるための解決策を仕込んでおくこと、これが課題解決策の検討でやるべきことです。
もっと言うと、顧客や上司の期待を超えるために仮説を作るのです。
仮説を立てなければ彼らの期待を上回ることは出来ません。
【まとめ】仮説立案のスピードと精度
あくまで大川的な解釈なのですが、ビジネスとは顧客(相手)の期待を超えることだと思ってます。
期待を超えるためには相手の想定期待を予想しておかなければなりません。
この期待の予想こそが仮説であると僕は考えます。
仮説立案のスピードと精度を高めるにはとにかく場数が必要です。
日頃から
「上司はなんでこんな依頼をしてきたのだろう」
「このお客さんは何をやりたくて使い方の質問をしてきたのだろう」
と何気ないことに対しても仮説を立てることでスピードと精度は磨かれていきます。
習慣的に仮説を立てること、これこそが仮説思考を身につける最短ルートです。
【追加】仮説思考を解説してみた
仮説の重要性、立案方法について学べる「仮説思考」という本をYoutubeで解説してみました。本書とあわせてご覧いただけると営業における仮説の重要性をよりご理解いただけるはずです。