僕が普段お話してる中堅・中小企業の営業部門の多くは、ニーズのある顧客に対しての販売・セールス活動だけを行っているケースは稀でして、たいていが「ニーズのある顧客を見つける」=マーケティング活動もセールスと平行して行っていらっしゃいます。
あ、マーケティングという言葉の定義について、今日は「ニーズを抱える顧客を見つけるまでのプロセス」のことをマーケティングと定義させてください。
中堅・中小企業においてはこのマーケティングについて、セールス以上にお困りのケースが多くあります。
今回は中小企業のマーケティングについて語った上のYouTubeの内容を解説してまいります。
営業パーソンのマーケティングの設計
ダン・ケネディさんの「究極のマーケティングプラン」という本によるとマーケティングの設計は12ステップに分けられるそうです。
その12ステップを3つにくくって今日は説明してまいります。
まず、マーケティングとは・・・
1:売り物のメッセージを
2:誰に対して
3:どうやって届けて営業機会を生むのか
これの最大効果を考えることです。
この3つをしっかり押さえれば誰しもが営業機会を作ることが出来るようになります。
ではそれぞれ解説してまいります。
売り物のメッセージの作り方
まずは「売り物のメッセージ」の作り方にについて。
本書に
「究極のマーケティングプランは、何も特定のメディアや戦略を使おうということではない。あなたの「売り物」を掛け値なしで伝えられる、一番いい宣伝文句を練り上げることから始まる。」
という記述があります。
そうなんです。
どんな広告媒体が効果的なのか!?
と媒体を選ぶことよりも何よりも
宣伝文句、言い換えればUSPを考えることが大切なのです。
いきなりUSPという言葉を使いましたが、USPとはユニークセリングプロポジションの略で
「皆さんの売り物を競合他社から際立たせるためのメッセージ」
のことです。
競合他社から際立たせるメッセージ!?はて??
って感じの人が多いことでしょう。
僕たちの身の回りのグッズから一例を挙げてみます。
たとえばこんなUSPがあります。
「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」
さて、これはどこの会社のUSPでしょうか!?
はい、皆さん瞬時にお分かりになられたかと思いますがダイソン社ですね。
このように
・競合他社とは一線を画すようなメッセージ
・見込客が思わず引き込まれるようなメッセージ
それがUSPです。
ではどうやってUSPを作るのかというと・・・
・まず競合相手や似たサービスを調べて、それらの特徴やメリット、USPを書き出してみる
・次に自身の売り物の特徴やメリットを書き出してみる
・最後に、書き出した内容をもとに他社と比べて、更には思わず引き込まれるようなメッセージを仕立て上げる
こんな流れです。
そして・・・
「数ある商品の中から、どうして貴方の商品を選ばなくてはいけないのか?」
という質問の答えと、出来上がったUSPがイコールになるならばとても良いUSPと言えるでしょう。
ではもう1つ事例を挙げてみます。
「1,000曲をポケットに」
これはある商品のキャッチコピー(USP)なのですが、さてその商品とは何でしょうか!?
正解はiPodです。
僕の記憶が正しければですが、iPodがリリースされた当時は、まだ音楽のポータブル機というとMDとCDプレーヤーくらいで、MDをもってしても多くて20曲くらいしか入れられなかったはずです。
そこにiPodは「1,000曲をポケットに」というUSPを引っ提げて登場したわけです。
そりゃ流行らないわけないって感じだなーと今、振り返ってみても感じます。
USPを作ることで
ニーズを抱えている人に気づいてもらうことはもちろん
ニーズが無い人に興味を持たせること
可能となります。
なので、BtoBでもBtoCでも見込客を発掘するというマーケティングにおいては
見込客の琴線に触れるUSPを作ること
これこそが最初の一歩となります。
誰向けのUSPなのか
続いて考えるべきは「誰に対してUSPを届けるか」です。
つまり見込客を絞り込む行為を行います。
こんな話をすると
「え、絞り込むなんてもったいなくないですか?
間口は広げておいた方がより多くの見込客を得られるのではないですか?」
といった指摘をされることがよくあります。
より多くの見込客、もっと言うと万人ウケすることが理想ではありますが、中々簡単ではありません。
万人をターゲットにするとUSPが一般的な平凡なものになりがちです。
というのも皆に喜ばれる、いや嫌われないようなメッセージにしなくてはいけないからです。
0歳から100歳まで皆にピッタリな車
ベンチャーでも1万人規模の会社でも使うべき経理ソフト
こんなUSPを見たら「本当!?それはないんじゃないかな~」と興味よりも猜疑心の方が勝ってしまうことでしょう。
※まぁ、それはそれでアリなのかもですが。
また万人をターゲットにすると広範囲にアプローチする必要があるため、広告コストが嵩んだり、様々な営業パターンを習得する必要があるなど多大な労力を要します。
で、労力をかけた割に成果には繋がらなかった・・・ということがあり得ます。
一方、見込客を絞ること、いわゆるターゲティングを行うことで
攻めるべきターゲット
が明確になります。
なので営業としては攻めやすいというかやることが明瞭なので(やることが盛りだくさんな万人アプローチよりも)モチベーション高く取り組むことができますよね。
また、同じターゲットにアプローチするので、経験値がそのまま営業・マーケティングノウハウとして次の見込客に応用できます。
ではではそんなメリット目白押し見込客ターゲティングですが、どうやるのかというと究極のマーケティングプランではターゲティング手法が2つ紹介されています。
1つ目が地理で絞る方法です。
不動産やカーディーラー、士業ではこの方法を取られている方が多く見られます。
会社の所在地をもとに、その地域で徹底的に知ってもらうこと。
これが地理的ターゲティングの目的です。
~~市で**と言ったら●●
※~~:地域、**:商品カテゴリー、●●:商品名(or会社名)
といった風になるよう営業面での努力はもちろんのこと、地域貢献を目的としたイベントを開くなど、ビジネスだけに限らず地域にとって必要な会社やサービスになることを目指すのがこの手法です。
もう1つは属性で絞る方法です。
BtoCで言えば年齢や性別、家族構成、学歴などターゲットとなる見込客個人の属性です。
BtoBなら業種や従業員規模、売上規模など企業属性となります。
たとえば
設立年数5年以下の経理ソフトなら●●!
といった具合にターゲット客を属性で絞って呼び込むことは属性ターゲティングにあたります。
このようにしてターゲットを絞り込む、つまり誰に対してUSPを届けるのかを定めます。
なお、ターゲティング後にターゲットに合わせてUSPを微調整しておくことも忘れないようにしましょう。
USPの届け方
最後に検討すべきがどうやってターゲットに対してUSPを届けるのかというマーケティング手法となります。
究極のマーケティングプランではマスコミに取り上げてもらうといった営業個人での取り組みというより会社単位で行う施策が多く記述されてました。
営業個人で実践可能なUSPの届け方としてオオカワが薦めるのは
・テレアポ
・紹介
・SNS活用
この3点です。
1つずつ解説してまいります。
まずテレアポに関しては
・狙ったターゲットに対して反復的に電話を掛けて
・スクリプトと呼ばれる営業トークを改善し続けることで
・USPに共感してもらえる可能性を高めることができ
・そのうちに高確率でアポが取得できる
ようになります。
テレアポの中で反応が悪ければUSPを調整してターゲットからより反応の得られるUSPへと進化させていくことが出来るのもテレアポのメリットと言えます。
USPが出来上がったらテレアポで市場調査・テストマーケティングを行ってから大々的にコストを投下したプロモーション活動を行った方が良いでしょう。
またテレアポのトークの中でメールアドレスを獲得できればメールとトークの複合的なアポ取りが可能となります。
メアドという営業資産を獲得できることだけでも大きいことですが、メールならば視覚的にUSPを訴えられます。1枚チラシを添付して送ってもいいですし、USPを詰め込んだランディングページを添えてもいいです。
テレアポというと前時代的だと言われますが、飛び込みという選択肢が通用しなくなっている今日ではまだまだ有効な一手です。
続いて紹介についてはオオカワの場合、協力者と呼ばれる人たちを探すようにしています。
協力者とは、自身のターゲットを同じくターゲット顧客としている営業の人たちです。
同じターゲットを狙っているので、お互いにとってメリットのある企画を考え、持ちかけるのです。そうすることで相手の抱える顧客資産へUSPを届ける機会を作ります。
そして最後に現代なら使わない手がないのがSNSです。
Twitter、Facebook、商材によってはInstagram、更にはブログ、YouTube。
これらをターゲットや取り扱い商材に合わせて複合的に使いこなすことが求められます。
たとえばTwitterならターゲットの方が抱える悩みの解決方法とか事例を投稿するとか、ブログではTwitterよりも突っ込んだ深い話を書くとか、YouTubeでは実機をもって解説して、SNSそれぞれでファンを獲得していくというのがSNS活用の王道です。
営業パーソンのSNS活用についてはまた別の機会で取り上げようと思っていますので、今回はこれくらいにさせてください。
このように今の時代においてテレアポ、協力者開拓、SNSを活用して営業パーソンは見込客を発掘していくことができます。
USP まとめ
今回は営業とマーケティングを兼任されている中小企業の営業パーソンの方向けにダン・ケネディさんの究極のマーケティングプランという本をもとに営業マーケティングの原理原則をお伝えしました。
USPを作ること
誰に対してのUSPなのかを定めること
USPの届け方
これらを解説しましたが、尖ったUSPはマーケティング段階のみならず、セールス段階でもメチャクチャ響くことをオオカワは身をもって体験してます。
僕自身は普段は営業マンでして、エクレアラボという会社でSFAを販売しているのですが
「業界初のコーディネート型SFA」
「SFA/CRMを初めて導入する企業にピッタリ」
この2つのUSPを発信しているだけで、商談機会を得られてます。
また成約時に当社に決めていただいた理由を尋ねるとこのUSPだった・・・ということがよくあります。
それくらいUSPは強い武器になりますので、定期的に見直してブラッシュアップしていくことをオススメします。
ちなみに今日紹介した究極のマーケティングプランの巻末にはUSPを作るための
「マーケティングプラン作成シート」が17ページにわたって用意されています。
このシートを埋めるだけでUSPはもとより、見込客へのアプローチプランも策定することが出来ます。
たった1760円でそこまで出来る優れ書籍ですので是非、ご覧ください。
今日の内容は動画でも解説しております。
USPは間違いなく会社の、そして営業パーソンの強い武器になりますので是非、作ってみてください!