先日、リモート営業オンライン展示会というイベントに登壇させていただく機会がありました。
朝の情報番組「スッキリ」のコメンテーターとして出演されている坂口 孝則氏も基調講演に登壇されるなど、イベントとしてとても盛り上がりました。
その際にアフターコロナ・ウィズコロナ時代では、
中小企業の営業においてはお土産が重要
というテーマで講演させていただきました。
今日はその内容をまとめていきます。
営業パーソンを取り巻く環境の変化
この20年で営業を取り巻く環境はハンパじゃなく変わりました。
以前までは顧客側が情報不足だったため、情報を持つ営業パーソンが訪問することただそれだけでも十分に価値がありました。
よって営業パーソンの主要活動の1つが
課題を抱えているものの解決策が分からず困っている見込客を見つけること
だったのです。
この時代に営業パーソンに求められていたのは提案力とかヒアリング力とかよりも
とにかく訪問量
でした。
「ちょーどそれで悩んでたんだよ!」的な顧客を見つけることが出来れば、競合を出し抜いて簡単に受注できました。
言葉を選ばず言ってしまえば課題解決の情弱(情報弱者)を見つけるために、出来るだけ多くの訪問、出来るだけ多くのテレアポを行うという時代でした。
ところが外部環境の変化に伴い、営業に求められるスキルは変わっていきます。
インターネット、さらにはスマホの普及により情報弱者だった顧客が情報強者へと成長を遂げてきました。
下手をすると営業パーソンよりも顧客の方が詳しかったり・・・ということもあり得るのが今の時代です。
こうなると訪問してもウザがられるだけですよね。
もし顧客がプライドが高く、情報強者のタイプだったら
「何にも知らないお前(営業パーソン)の定期訪問なんか時間の無駄なんだけど」
と心の中で思われているかもしれません。
では今の営業にはどんなことが求められるかというと(理由は長くなるので端折りましてザックリ)下図のような感じです。
顕在ニーズを探していた以前とは違って、潜在ニーズを顕在、さらには緊急課題にまで昇華させることを営業パーソンには求められます。
で、前段が長くなりましたが、ここからが本題です。
潜在ニーズを顕在化させるときに必要なのがお土産なのです。
営業におけるお土産とは
営業におけるお土産とは虎屋の羊羹・・・などお菓子のことではありません(汗)
僕の場合は営業企画、これこそが営業のお土産だと考えています。
上の図に例を書きましたが
社内営業パーソン向けキャンペーン、これなんかは自社の営業パーソンのやる気を引き出すためのお土産=営業企画です。
社外キャンペーンは見込客の購買意欲を高める営業企画です。
セミナーなどのイベントはターゲット顧客に気づきを与える営業企画です。
顧客への個別提案も実は営業企画です。だって提案(書)は言い換えたらその顧客のためだけの企画(書)ですよね。
営業ツールと呼ばれる事例集なども顧客にヒントを与えるための営業企画です。
要するにお土産とは営業企画で、営業企画は顧客にとってのお土産なのです。
お土産が魅力的であれば、営業パーソンの価値をさらに引き立てるはずです。
営業企画の立て方
では営業企画って具体的にどうやって立てるの?ということをここからは書いていきます。
と、その前にフロントエンド商品とバックエンド商品についての説明を補足しておきます。
フロントエンド商品・バックエンド商品
フロントエンド商品とバックエンド商品とは一言で言うと
フロントエンド商品:集客用の見せ球商品
バックエンド商品:本来売りたい商品
です。
コンサルタントや士業の先生が無料セミナーとか無料個別相談をやっているのをよく見ますが、これはフロントエンド商品です。
これまで接点のなかったターゲット顧客をセミナーというフロントエンド商品に集めて、自分の価値を知ってもらい、顧問契約などバックエンド商品の契約を売り込むキッカケを作っているのです。
図にするとこんな感じでしょう。
上図にはフリー商品を加えていますが、これもフロント商品です。
フロントの中の無料商品をフリー商品と位置づけているだけです。
で、図にも記しましたが、フロント商品ってまさに営業企画であり、お土産なんです。
先の例にあげたコンサルタントのセミナーなんて営業活動のための企画でしかないですよね?
そのコンサルタントに対して少しだけ興味を持っていた顧客群にとっては有難いお土産ですよね?
このようにバックエンドを意識したフロント商品を考えなければいけません。
バックエンドに繋がらない(コンバージョンしない)ような商品は営業企画として成立しません。
営業企画を立てるポイント
では営業企画を立てるための具体的なポイントを挙げてみます。
大きくは6つだと僕は考えてます。
顧客の悩みや感心:
ターゲット顧客の興味を惹くための企画なので言わずもがなですね。
売りたい商品:
ターゲット顧客の興味に寄せすぎて、売りたい商品に全く関連のない企画はタダの奉仕活動です。売りたい商品とリンクしているかどうかを注意しながら企画を立てなければいけません。
独自性:
他社にはない独自的、独創的な企画こそ営業企画と呼べます。また平凡な企画では顧客は喜びませんよね。
固有性:
ターゲット顧客と企画のマッチング度のことです。立案した企画がターゲット顧客にとって「これってまさにオレ(私)のためのイベントじゃん!」と思ってもらえるような企画でなければなりません。エリアや企業でターゲットを絞り、固有度の高い企画を作る必要があります。
限定:
時間や受付人数を限定することで営業企画の希少性を高めます。
「先着〇名まで」「〇月〇日までのお申込みに限り」これらは代表的な限定テクですね。
特典:
企画したイベントなどに参加や申し込むことでプレゼントが得られる場合、ターゲット顧客の参加率、申込率はアップするはずです。このように特典をつけることで参加や申込を後押しすることができます。
以上6点が営業企画を立てる上で考慮しておくべきポイントです。
営業企画の例
では先ほどのポイントをふまえた営業企画の例をあげてみましょう。
税理士事務所の営業企画
「開業5年未満の飲食店多店舗展開事例〇選」
(事例集・ホワイトペーパー)
こちらは税理士事務所の営業企画例です。
この税理士事務所の場合、飲食店の開業を考えているオーナーや成長中の飲食店オーナーをターゲットにしていました。
なのでターゲット顧客が
「もっと成長≒多店舗展開するためにはどうすればいいのだろうか」
「短期間で多くのお客さんに気に入ってもらって2店舗目を出展するにはどうするべきか」
といった悩みを抱えているであろうと目を付け、多店舗展開事例集を作成しました。
開業5年未満/多店舗展開、これは固有性を高めています。多店舗展開を考えているオーナーへまさにForYouって感じです。
さらに当時、このような事例集(ホワイトペーパー)をSNSで広告出稿している税理士はおらず、独自性も高かったと言えます。
人材紹介会社の営業企画
「人材紹介営業マンが見た人材採用・育成の現場」
(ブログ)
ある人材紹介会社のイチ営業部門が立ち上げたブログです。
営業パーソンが毎週、ブログテーマを1人1個ずつ記事にしておくことでほぼ毎日、人材採用や人材育成など企業の人材に関わるリアルな話をブログにアップしていきました。
今でいうコンテンツマーケティングです。
コンテンツマーケティングとはその業界の営業だからこそ可能なノウハウ媒体だなと僕は思っていて、営業だからこそ顧客の成功、失敗話を深いところまで掴めるはずです。
それを書いてOKな範囲でコンテンツにする、これってまさに営業企画です。
上の例でいうなら人事に関わる人ならお金を払ってでも読みたい内容になるはずです。
抜群の独自性、固有性ですよね。
でもブログゆえに読まれて終わり・・・ということもありますので、
「ブログでは書けないここだけの話」的なセミナーなどリアルイベントを企画することで、ブログからターゲット顧客を見込客へと変換することが出来ます。
事務機販売会社の営業企画
「大人気社労士が雇用助成金を一挙解説」
(オンラインセミナー)
今まさに話題の雇用助成金、たとえ独自性がなくてもこのような旬のテーマであればターゲット顧客を呼び集めることが可能です。
そして上のタイトルを見ると一見、社労士事務所の営業企画のようではないですか?
この企画、実は事務機販売会社の企画なのです。
というのも事務機販売会社のターゲット顧客はコピー機やPCを購入してくれる法人企業です。もっと言うと企業の総務部や、中小企業であれば社長がターゲットです。
そういった人たちが今、興味を持っているのが雇用助成金です。
なので著名な社労士を招いてセミナーを開く、たったこれだけでターゲット顧客を呼び集めることができ、見込客化できてしまうのです。
売りたい商品と営業企画がマッチしないように見えますが、今ならばテレワーク助成金などPCや事務用品を購入した費用が助成金で戻ってくることを個別提案できます。
なので、雇用助成金に興味がある人≒他の助成金も活用したいと考えている人 という可能性が高いはずなので、ピンずれな企画ではないと思います。
営業企画は訪問量を増やすよりも簡単
営業企画の事例を紹介しましたが、如何でしたでしょうか?
これまで営業一筋だったいぶし銀的営業パーソンからすると、営業企画はハードルが高いように見られがちです。
でも実は
訪問してお客様のニーズを掴んで、提案する
これよりも簡単なんです。
なんてたってお客様ニーズの最大公約数を想像するだけですから。
そして今や訪問せずとも営業企画は様々な方法でお客さんに届けられます。
メール(メルマガ)
WEB(コンテンツマーケティング)
動画(YouTube)
と企画伝達手段は増えてきて、訪問時間を大幅に削減することができ、一方でより多くのお客さんに届けることができるようになりました。
中小企業において、これからは営業企画こそ営業力と言っても過言ではありません。
まずは営業企画会議を試しに開いてみてはいかがでしょうか?
その時のテーマは
・ターゲット顧客が抱えている(であろう)悩み
・悩みを解決できる無料商品
この2つを考えてみることをオススメします。